大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)3592 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人遠藤良平の上告趣意第一点について。

しかし、刑法一七五条にいわゆる猥褻とは徒らに性慾を興奮又は刺戟せしめ、且

つ、普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいうこ

と当裁判所の判例(昭和二六年(れ)第一七二号同年五月一〇日第一小法廷判決、

集五巻六号一〇二六頁参照)とするところであり、この判例を変更すべき理由を見

ない。従つて、原判決が、肯認した第一審判決の認定判示したような内容の本件フ

イルム一巻が刑法一七五条所定のものに該当することはいうまでもない。所論違憲

の主張はこれが同条所定のものに該当しないことを前提とするものであるから採用

することができない。

同第二点について。

所論は本件を只の一人だけに売却しようとした場合であるとし、第一、二審判決

の認めたところに副わない主張をするものであつて、刑訴四〇五条に当らない。(

のみならず、原判決は第一審判決挙示の諸証拠(二、三、四)を綜合すれば被告人

がA只一人のみでなく、他の不特定人に対し販売する目的を有していたものである

ことは容易に看取することができる旨判示していること判文上明白であるから、原

判決には所論引用の判例に違反するところもない。)

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三一年九月二五日

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

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